ドールハウスでミニチュアのドリームハウスをつくってみませんか!

ドールハウス

ドールハウス

人気ランキング : 176332位
定価 : \504
販売元 : 角川書店
発売日 : 1997/07/01

価格 商品名
\504 ドールハウス

深く考えずにすらすら読める内容

こういう家庭があってもおかしくはない。しかし、やや詩的なきどりがあり、あそこは気に入らなかった。人間の心理的な部分はみごとに表現できていてすがすがしい。ただ、全体的にもうひとひねりほしかった。そのぶんやや単調に感じるところもある。先がなんとなく予測できてしまうのも残念。結末は世間一般の観念で生きている人にとって完全には理解はできないだろう。そういう意味では読む価値がある。本書は三部作のうちの一つ目だそうだが、残りの二つははっきりとした結末を期待したい。

父権喪失社会に蘇った正統派教養小説

父権の抑圧というのは、かつては小説のテーマとしてありふれたものでしたが、父権の喪失が言われて久しい現代社会を、そのような社会の中にあって、例外的に父権的な家庭に育てられた女性の視点から眺める、というような小説は、意外となかったのではないでしょうか?

ウェブを検索してみると、こんな家庭あるわけない、みたいなレビューを書いている人もいるので (ある意味幸せな人である)、こういう感覚がどれほど一般の共感を得られるのかわかりませんが、同世代の中では比較的父権的な家庭に育った者にとっては、かなりツボにはまる小説でありました。

本作は、著者によれば、「喪失記」「不倫 (レンタル)」と並んで「私小説三部作」を構成するとのことですが、単にマイノリティの感性を主張するというようなレベルではなく、作者自ら「主人公は未熟である」と喝破する突き放した視点があるため、一種の教養小説 (「路傍の石」とか「次郎物語」みたいなヤツね) にまで昇華されています。したがって、思春期にあって、いろんな種類の抑圧に悩む少年少女にもお勧めできる作品ではないかと思います。

遠い想像の世界のラブストーリーが苦手なら

 恋多き女ではない、レンアイの苦手な女性ならば、この物語の中に描かれる恋とも呼べないような恋愛の過程に自分を重ねることが多々あるのではないでしょうか。主人公の受け身な行動、内にこもってゆく思いと、自己アピールへの恐れとそれによって相手に理解されずにいつの間にか幸せの風向きが変わっていく様、焦燥感、そしてそれをふっきったときのすがすがしさ。

 どこか自分とは遠い世界にある恋愛が描かれるいわゆる恋愛小説はちっとも共感出来ないし、興味もないのですが、ここまで丁寧に現実的に描かれると、苦しいくらいの感傷が胸に迫ります。
 この物語は一見、厳格で偏屈な父親のせいで主人公の置かれた設定は現実離れしているようにも思えるのだけれど、実際、ここまでとは言わずとも、「真面目」に育ってきた女性ならば、同じような環境にある人も少なくない。

 抑えられてきた感情の表面化されない静かな爆発に、子供同士のそれではない恋を知り、変わり始めた当時の己の姿を重ねて一緒に静かに泣きました。「透明感のある」「キレイ」な恋愛小説に飽きた女性へ、是非。

家族、それは遠いもの、でも近いもの

この作品は家族を巡る話であると同時に、一人の若い女性が自立して行く物語でもある。一人の内気な優しい女性。それでも家族には複雑な思いがある。恋愛には臆病で、なかなか近づけない。そんなとき、ある男が彼女の前に現れるのだが・・・
恋愛小説の枠を破る斬新さが随所にあり、小説を読み飽きた人向け。

切実なメルヘン

「過去を取り戻すの。」 理加子が言った言葉は私の胸にぐっと突き刺さった。私も同じ事を恋人に言ったことがあったからである。 「家庭の事情」は「家庭」の中の人でないとわからない誰にも言えない。だから苦しい。 理加子がこの本の中で書いたシナリオは、「切実なメルヘン」であった。

現代の社会から見ると「異常」な理加子の「家庭」をリアルに描いたこの作品は、おかしいと思いながらも妙なリアリティのある、理加子の描いたシナリオと同様の、「切実なメルヘン」であると思う。

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